1分と31秒のとびら。
「そしてあなたは、私の体を優しく撫で、『死なないで、死なないで』と言ってくれました。

出会ったばかりの得体の知れない生き物の私に、あなたは声をかけて、触れてくれたのです。


その手は温かく、私の中の凍てつく氷に包まれた孤独という感情を溶かし、救いを与えてくれた。

最後の一瞬まで、あなたは私を思い、涙すら流してくれた。



そんな幸福な気持ちのままで、私は命を終えたのです」



(・・・もしかして、この"力"はあなたがくれたものなの?)




私はいつの間にかあの赤い羽を握り締め、透明な存在ではなく、しっかりとした実体として立っていた。



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