1分と31秒のとびら。
「えへへ、ごめん。・・・ねぇ、私、由紀に聞きたいことがあるの」



はっきりしてきた意識と視界の中で、由紀が私の左手を握ってくれていることに気付く。




「うん?」



「由紀が水泳始めた理由って、私を助けるため?・・・とか、そんなことないよね。あはは・・・」



「そうだよ。泳げないせいでお前を助けられないなんてことが二度とないように、だよ」




由紀は照れたように視線をそらしたまま、私に触れる。

くすぐったくて、言葉にできない気持ちが私の中を満たしていく。


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