1分と31秒のとびら。
【06】

――


「いい加減、機嫌直せって」



私はふてくされたまま、ベッドにもたれかかって、そっぽを向いていた。



「ほら、紅茶入れてやったから」



由紀の言葉を無視して、私は本棚からアルバムを取り出す。



「ああー昔の由紀はこんなにかわいかったのに・・・」



「お前なぁ・・・・・・」



写真にはショートカットで絆創膏だらけの私と、華奢で女の子って言われても信じちゃうくらいかわいい由紀が並んでいる。

そう、この頃は私の方が身長も大きかったし、走ったって、泳いだって、私の方が速かった。




力だって・・・


後ろから抱きしめられた感覚が蘇って、ひざに載せていたクッションに顔をうずめる。



< 54 / 146 >

この作品をシェア

pagetop