1分と31秒のとびら。
夏って暑くてやだけど、なかなか日が暮れないのは嬉しい。

同じ時間でも、日が暮れてるのと暮れてないのだとテンションが違うんだ。


軽快なリズムで自転車は進み(由紀が頑張ってくれているだけだけど)、
街の小さな繁華街に出た。


しかし、カラオケを通り過ぎ、由紀は私が知らないお店の前で自転車を止めた。



「手芸屋さん?」



「うん、メイド服の布、見ないと」



「あっ・・・」



「ひより、また忘れてただろ・・・」



「えへっ」



由紀はため息と一緒に、私を振り返ることなく店の奥に進んで行った。


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