少数派の宴
煙に巻かれた蜥蜴(完結済)
男がいた。
長身で体格が良く、街を歩いていても絶対に絡まれないような種類の男。
しかし、彼は街にはいない。行ったこともない。
深い森で隔絶された、小さな小さな村で、ひっそりと生活している。
彼は孤独だった。
村の人々は、彼を恐れ、疎んでいる。
そして嫌っている。
たった1つの身体異常を持っているために。
<トカゲ>――――それが彼のあだ名であり、名であった。