少数派の宴
*

――――ピリリリリ

――――ピリリリリ

森に場違いな電子音が、男達の呪縛を解いた。
「今の……は」
喉が貼り付いたようだ。うまく話せない。

――――……ぶつッ

ふと、着信音がひとりでに止まった。
再び若者達に緊張が走る。

しかし、それきり何も起こらなかった。
傍目には、だが。


…………ちがう


幽かに、けれど確実に、彼らにはそう聞こえたのだ。

そして足元には、いつの間に生えたのか、気持ち悪い程に密集する四葉のクローバー。

まるで死体を運ぶ蟻のように。
まるで死体に集う蛆虫のように。

密集する、四葉のクローバー。


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