月の下の砂漠の上で
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「本当にあの女も宴に出るのか?」
「はい、宮殿の者が皆 言ってます」
「…そうか」
これはあの女を追い出す絶好の機会
他の世界から来たなんて嘘らしいし、第一
兄様の隣にいるのが気に入らない。
でも、宴に来たアイツはまるで別人みたいだった。
王族に取り入ろうと 美しいと称される女達はこの国を訪れてきた。
だか今まで見てきた 女達の中でも群を抜く美月という女 。
本当にすぐに どうにかしなければ、アイツは兄様と仲良くなる一方だ
兄様があの女に向ける瞳が愛しい者をみる瞳に変わっている…?
宴の席で兄様の隣にアイツが座ることが恨めしい
「今日は 挨拶を兼ね美月さんが、皆さんに芸を御覧に入れたいと」
早く宮殿から追い出さないと
「歌か舞か、どちらか忘れてしまいましたけど。どちらです?」
こいつが歌も舞もできるわけがない
あきらかに芸が無さそうだし
睨んできた仕返しに更なる追い討ちをかけて
「あぁ そうでした。どちらもですね」
「ちがっ」
いっこうに動こうとしない女に口元を近くに寄せて呟く。
「俺はお前が お兄様の侍女だなんて認めてないよ?ここは王宮。王族の命でお前を今すぐにでも追い出すことができる。代わりなんていくらでもいるんだから」
早く出てけばいいのに