月の下の砂漠の上で
舞が終わる。
最後まで舞えた…?
「…そんな お前なんかがアレを舞えるはずがな い…」
柑瑠を舞を最後まで 舞えるのは今まで一人しかいなかった。
他の者が何の反応もできないのも無理はない。
あんなに綺麗な舞を見たのは初めてだったんだから
それに伝説とされる柑瑠の舞を…
「何をしている?」
「お 、兄様…。」
「なぜ美月が、 舞台にいるんだ?」
「い、え…ただの余興を。美月さんが、したいと言ったので…」
兄様に嘘をついたことが心苦しい。
でも、兄様のためだ。
「美月」
今まで聞いたこともない優しい声であの女の名を呼ぶお兄様がなんだか遠く感じた
兄様が差し出す手を本当に嬉しそうに握り返す女
その微笑みに、いったいどれほどの者達が心を奪われただろう
「本当に美月から言ったのか?」
あの女の一言で、俺のお兄様への信頼が…
、っ…
精一杯の力眼で女を睨む
「…うん。自分から歌とか踊りとかしたいってティマに言った」
眼力が効いたのか あの女はそう言った…。