月の下の砂漠の上で
「ライル様、また 届きました…」
「…今度は誰からだ?」
「フィリア様からです」
「フィリアならもうたくさんの女がいるだろう?」
「それが、全ての縁を切って美月様に会いたいと…」
これで何通目なのだろう。美月への縁談の許しを請う手紙は一向に減らない。
いったい どんな余興をすれば、王族や有力な大臣達がこんなに美月に惚れ込むのだろう…
頭が痛くなる。
「ダメだ。フィリアにも断判評を送って断れ」
「わかりました」
あの宴の日から美月に言い寄る者が増えた。いつでも美月が隣にいるわけではないし近づこうとしている者が接触しないようにするのも大変だ
「なぁ マハル」
「はい」
「いっそのこと美月に近寄ってはいけないし縁談も求めてはいけないような法を成立させようか…」
「…ライル様、それは」
「わかっている。冗談だ、真に受けるな。一応また美月に縁談のこと知らせて連れて来てくれ」
美月が他の誰かの者になってほしくない気持ちがある。でも美月の意思もきいてやりたい。