月の下の砂漠の上で
でも 期待に満ちたライルの目がこちらを見る


ライルもティマも

この国の王族は見つめるだけで人を操る美貌を持っているのかもしれない…

断りづらい…

「…ちょっと考えさせて。」

「あぁ」

考えさせてって言っただけなのにライルはもう嬉しそうにしている…

ライルさーん
まだ踊るって決まってませんよー?

でも、あんな嬉しそうにされたら断れない。
舞の練習 自分でしてみようかな…


ライルの部屋を出て屋敷の外をうろつく。最近あんまり運動してないから体重が気になりちょっと散歩を


前は体育があったから自分から運動しなくても平気だったけど

今はまるで どこかのお嬢様みたいな暮らしをしているからなぁ

きっと菜々美に言ったらアンタはお嬢様なんて柄じゃないでしょ!って大笑いされると思う。

うん、私もそう思うよ


茂みを掻き分けて少し低い塀をくぐると城内の池への近道ができる。

最近マハルから教えてもらったこの通路を通る。探検みたいで面白い


池には魚はいないけど睡蓮みたいな花が浮いている。



「美月さん」

聞き慣れない声の方を振り向けば

「…」

ルシエ…

「どうしたんですか?そんなに怖い顔して」

宴であったときは一度も見たことがない嘘くさい紳士スマイルを張り付けて、敬語を使ってる。

何企んでるんですか?コノヒト…
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