月の下の砂漠の上で
「宴のときも俺を拒んでたが いったい何が気にくわないんだ?容姿も品位も財力も優れているのに」

「あなたが 私を得ようとするのは打算的な理由でしょ。ライルに負けたくないからとか 柑榴の舞を舞えるからとか。」

「それの何がいけない?」

「ライルはそういうのじゃない。誠意で元の国に帰るまでのことを考えてくれたりするから 。」

「ふーん…そんなにライル様が好き??」

おちょくる様な口調でライルに様をつけたルシエの言葉が何だか妙に頭に響く


…好き?

あたしがライルを?



ライルを見るとき、この心臓がぎゅっと締め付けられるような感覚がある。

今まで考えないようにしていたけど


「…わからない」

「何故だ?自分の心だぞ」

本当にそうだよね。自分の気持ちなのにわからないの

ううん、たぶん あたしは解りたくないんだ…

わかったら何かが終わっちゃう気がして。踏み出すのが怖い。

「ルシエ、その手を放せ」

不意に聞こえた声はまだ少し幼い ティマの声

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