月の下の砂漠の上で

「…おい、王の侍女なんだから 大声を出すな」

「あ、侍女をするために何か守る決まりとかあったりする?」

「当たり前だ…。直属の侍女は王に近い存在なんだからな」

「例えばどんな?」

「まず、大声で喋るな。粗末な服は着るな。いつも堂々としていろ。…身分の低い者とは馴れ馴れしく話すな…」


「…身分って…」


「さっきも言っただろ?お前の住んでいた国はどうか知らないが、この世界には身分がある。王が上に立たなければこの世界が崩れてしまうようにな…」

何故だか また、悲しそうに見えた

あぁ、そうか

この人は、誰からも崇められていた

対等の人が誰ひとりいなかった


「…私は、この世界の人間じゃないし 身分なんて関係ない。だから、あなたと対等に接する。私の前では王じゃなくてもいい。ライルって言うひとりの人間でいい。」

何故こんな偉そうでキザな言葉が言えたのかわからない

でも、言わなきゃいけない気がしたんだ






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