月の下の砂漠の上で
「いや、全然違う。むしろ この宮殿の人からしたら私がでしゃばってるようにしか見えないくらいで…」
「いいえ、直属の侍女が決まっただけでも、めでたい事なんです。」
トントン
不意にドアをたたく音
「美月様、お着物が届きました。」
着物?
「あ、はい。開いてます」
「失礼します。全てしまっておきますね」
そう言いながら大きな箱の中に入っている何枚もの服をクローゼットみたいなところにしまっていく
「あの…こんなにたくさんの服、使っていいんですか?」
「いえ、まだすくないです。清浪塔の者に比べて半分もありません。また、新しい物を持って来ますね」
そう言って女の人は出て行った
「ナチ、清浪(せいろう)塔ってどんなところ?」
「…この宮殿の男の方のために女の方が一時体を貸すところです。」
「えーと…?」
「下世話な言い方をすれば女郎が男の方に体を捧げると言ったほうがよろしいでしょうか」
「っ!?」
「清浪塔の階級分けは本当に極端なんです。王族に抱かれる女郎は【花】と呼ばれていて本当に上の位です。一般の官僚などが抱く女郎はあまり高い位とは言えませんし…」