月の下の砂漠の上で
「あ、 先ほどマハルが探していましたよ」
「マハルが?」
「はい、急いでいたようですが…」
「わかった。美月、自室に戻っていろ。終わったらすぐに迎えに行く」
「お兄様、美月さんは僕がついていますよ。そのほうが楽ですし、僕も美月さんと話がしてみたい」
「お前が話したいなんて珍しいな。わかった、頼んだぞ」
ライルの後ろ姿が見えなくなると
「お前、どうやってお兄様に取り入ったの?」
甘く可愛らしい声は消えて低くて冷たい声
「…え?」
「この体型で色仕掛けはしないだろうし、お兄様もそんなのにのらない。」
この体型でって…
確かに特別ナイスバディではないけど…
一応、普通の標準体型だよ
「ねぇ、どうやって取り入ったの?」
「取り入ってなんてないよ。ただ、ここにいる間 仕事をもらっただけ」
「本当にお前、バカだな」
「ば、バカって…さっきから失礼すぎじゃない?」
「直属の侍女もお兄様の隣を歩くのも、どれ程幸せなことか知ってる?何もしないで そんなのできるわけないいだろ」
「王としてじゃなくてただライルとして話しただけ。」
「呼び捨てなどするな。王がどれ程 絶対的な存在かわかってるのか?」
「さんざんナチに教えてもらったけど、まだ少ししか…」
「王の品位もわかってないやつが、王の隣にいていいわけがないだろ。」