月の下の砂漠の上で



「不甲斐なく至らぬところはたくさんある。

不安だとしても王だから弱みをみせてはならない。
王のしていることが全て正しいと皆が思うのも苦しくてたまらなかった。


…お前が対等だと言ったことがどれほど嬉しかったか」

そう言って私に微笑みかける


トクン トクン トクン トクン


胸の鼓動が速さをます



何か言葉を返したいのに何て言ったらいいかわからない…



でも、ライルはいつの間にか浮かんでいた月に目を向ける



あぁ、きっと儚いってこんなときに使うんだ



寂しそうで今にも消えてしまいそう



…もしかしたら、あの日ここで会ったときも同じことを思っていたのかもしれない



不安で寂しくなるその度に月を見て…



世界中の命の重さを一人で抱えて


一人の王として立っていたの?




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