図書室の天使。
放課後。
いつも通り、図書室に居た。
片桐くんは授業の間にも私のクラスに来ていて、私にも話し掛けてくれた。
「本当に良い人なんだなぁ…」
「誰が?」
いきなり後ろから声がして振り向くと、ドアにもたれかかるようにして片桐くんが立っていた。
「か、片桐くんっ!!」
「誰が良い人なの?」
私に歩み寄りながら言った。
「え…と、」
そして私の前に立つと少し首を傾げて
笑いながら私を見た。
私は恥ずかしくなって、持っていた本で顔を隠した。
「なんで隠すの?」
そんな言葉とともにクスッという笑い声も聞こえてきた。
「ぅ……」
そしてフッと視界が明るくなった。
いつの間にか私の手の中にあった本が片桐くんの手の中にあった。
「あぁっ!」
私が本に手を伸ばすと片桐くんがフッと笑った。
「ごめんごめん。
碧崎が焦ってるの可愛かったから」
そう言って本を私の頭の上に乗せた。