センセイのチカラ―受験生応援小説―



昼休み。




瑠美の声は、にぎやかな中庭に響き渡る。



一瞬、周りが静まりかえる。





「うそーーーーー」






そりゃ、びびるわな。



昨日まで、黒岩の「く」の字も頭になかったんやから。





「一体、昨日の放課後に何があったん?いきなり好きになるって、どんな理由なん?てか、なんで黒岩なん?」




興奮した瑠美の隣で、私は空を見上げる。



自分でもわからん。



三年間アイツを知ってるのに、なんで急に好きになったんやろう。



たった10分で。





「なんでかわからんねん。今までなんとも思ってなかったし」




「私が、かっこいいなって言ってもいつも首かしげとったやん。黒岩、なかなか人気あるんやで。萌美がもっと早く好きになってたらめちゃ応援したのに。もっと毎日楽しめたのに」



瑠美は残念そうな顔をしながらも、私の背中を叩いてこう言った。




「今からでも遅くない!!残りの時間、頑張ろう」




< 17 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop