センセイのチカラ―受験生応援小説―
昼休み。
瑠美の声は、にぎやかな中庭に響き渡る。
一瞬、周りが静まりかえる。
「うそーーーーー」
そりゃ、びびるわな。
昨日まで、黒岩の「く」の字も頭になかったんやから。
「一体、昨日の放課後に何があったん?いきなり好きになるって、どんな理由なん?てか、なんで黒岩なん?」
興奮した瑠美の隣で、私は空を見上げる。
自分でもわからん。
三年間アイツを知ってるのに、なんで急に好きになったんやろう。
たった10分で。
「なんでかわからんねん。今までなんとも思ってなかったし」
「私が、かっこいいなって言ってもいつも首かしげとったやん。黒岩、なかなか人気あるんやで。萌美がもっと早く好きになってたらめちゃ応援したのに。もっと毎日楽しめたのに」
瑠美は残念そうな顔をしながらも、私の背中を叩いてこう言った。
「今からでも遅くない!!残りの時間、頑張ろう」