センセイのチカラ―受験生応援小説―
スラスラと瑠美は嘘ついて、上手く質問を始めた。
「何や?俺に質問か?じゃあ、教室で待っといて。部活顔出してから行くから」
「はい!!ありがとうございます」
黙ったままの私。
深々と頭を下げた瑠美がまた走り出す。
瑠美の後を、私も追いかける。
「こら、走るなよ!!」
背中にぶつかる黒岩の声。
尋常じゃないで、この緊張。
昨日まで、一回もドキドキなんかしたことないのに。
教室まで走ると、瑠美はニヤニヤしながらカバンを持った。
「ほんじゃ、また明日」
「ちょ、ちょっと待ってよ。帰るん?」
「ふふ、当たり前やん。私お邪魔虫やん」
嘘ぉーー。
ふたりきり。
しかも、またあの黒いジャージ着てくるんやろ?
恥ずかしいけど、めちゃ嬉しい。
あ、質問考えよーっと。
単細胞な私は、昨日の夜、今までにしたことないくらい英語を勉強した。
英語ばっかり。
黒岩が教えてくれた英語、得意になって卒業したい。
てか、
ほめられたい。
うん。
黒岩のあの優しい笑顔で、優しい声で、ほめてほしい。
だから、がんばる。
絶対合格する!!