センセイのチカラ―受験生応援小説―
「サッカー部、大丈夫なん?」
チラっと窓の方を見た黒岩が気になって聞いてみる。
「ああ、全然OK!!」
私の小テストや、ノートを真剣な表情で見つめる黒岩。
その黒岩を見つめる私。
好きになったからって、英語を頑張るなんて不謹慎かな。
理由なんてどーでもええやんな??
やる気になったってことはええことやんな??
「お前が苦手なんは、このあたりやなぁ。ここらへん、過去と現在がこんがらがっとるやろ?」
私の筆箱からピンクのペンを取って、スラスラと英語で何か書いてる。
「これ、わかる?」
「わかるようなわからんような・・・・・・」
「小阪・・・・・・お前、重傷やな。お前さえ良かったら、何回か補習するから放課後時間作られへんか?」
この先生、ほんまに真面目で一生懸命なんやな。
「ええん?先生、他にいっぱい教える子おるんちゃうん?私だけそんなんええん?」
「別にお前だけってわけちゃうけど。せっかくやる気になったんやから、頑張ろうや」
“別にお前だけってわけちゃう”って言われて、ちょっとショックやったけど、それは当たり前やな。