センセイのチカラ―受験生応援小説―
気がつくと、私は食べかけのミカンを床に投げつけとった。
床には、オレンジ色の綺麗な模様。
凍りつく空気の中、私は立ち上がる。
「お父さんもお母さんも私の気持ちなんかわかってくれへんやん!!」
リビングから飛び出して、玄関に置いてあったダウンを着て、家からも飛び出した。
昔から、親とは仲が良い方やった。
それが、中学3年の夏くらいから急に仲が悪くなった。
受験ってのは、家族までバラバラにしてしまうんや。
顔を見たら、勉強勉強・・・・・・
ちょっと息抜きにテレビ見てると、嫌味言われるし。
テストの点数が上がっても、平均以下やから褒めてもくれへん。
寒い夜。
雪が降りそう。
携帯も持たされていない私は、誰にも頼ることもできず。
結局、家出をしてもすぐに家に帰るだけ。
帰って怒られるだけ。
意味ないことしてもーたのはわかってる。
でも、あんな嫌な空気の家にはおりたくなかった。
黒岩に会いたい。
黒岩しかわかってくれへん。
アイツなら何て言うかな?
“お父さんもお母さんもお前のこと心配してるだけやで”
そーんなこと言いそう。
黒岩の言葉なら、スーっと心に入ってくるんやけどな。
なんで、お父さんもお母さんも頭ごなしにあんなこと言うんやろう。
確かに、そこまで頑張ってなかったけど、そこそこ頑張ってるつもり。
それに、今日から心入れ替えて本気出すつもりやったのに。