センセイのチカラ―受験生応援小説―
ピンクだらけの部屋。
瑠美は私と違って、女の子らしい。
ぬいぐるみが前よりも増えた気がする。
「おばちゃんとケンカしたん?」
瑠美は、濡れた髪をタオルで乾かしながら私を見た。
「うん。お父さんとお母さん両方、嫌い・・・・・・」
「何があったん?」
私は、今日の出来事を瑠美に説明した。
涙が出そうになると、天井を見て、涙を止めた。
「そんなん言われたら私かて家出するわ・・・・・・うちら、受験生っていうだけでものすごい疲れてるもん。周りからいろんなこと言われて、頭の中ぐちゃぐちゃやもん」
瑠美は、いつも私の気持ちをわかってくれるから好きやねん。
瑠美のお母さんはあんなに優しいのに、瑠美も同じようなことを言われたことがあると言った。
「どこの親も同じやな。かわいいから言ってるのはわかるけど、かわいいと思ってくれてるなら、よく頑張ってるねって抱きしめて欲しいわ」
瑠美がそう言ったことで私は、涙がこぼれてしまった。
そうや。
私は・・・・・・
お母さんにそうして欲しいだけなんや。
小さい頃みたいに
“萌ちゃん、よく頑張ったね”って頭なでて欲しかっただけ。
“萌ちゃん、頑張ろうね”って優しく背中を押して欲しかっただけ。
受験生になってから、お母さんは変わってしまった。
それが寂しかったんやと気付く。