センセイのチカラ―受験生応援小説―
仲直り
なかなか眠れんかった。
夢にはお父さんとお母さんが出てきた。
夢の中のふたりは、めっちゃ優しくて昔のお父さんとお母さんやった。
「おはよう。萌ちゃん」
「・・・・・・うん」
お母さんにおはようを言えんまま、家を出た。
瑠美と一緒に登校していると、自分が受験生やってこと忘れそうになる。
それくらい、瑠美と私は似てる。
「見て、あの人!!」
瑠美が指差した先にいたのは、同じ学年の男子。
登校しながら、問題集片手に持って、難しい顔してる。
「あんなんしても、たいして覚えれんやろな」
「ほんまや。前見てないからいつかこけるで」
学校の中に一歩入れば、“受験受験”なんやから、校門くぐるまでは、ルンルン気分でおりたいやん。