センセイのチカラ―受験生応援小説―
遠回りして、職員室の前を通る。
「黒岩、おるかな?」
ニヤニヤしながら背伸びする瑠美。
「おらんって!!瑠美、覗いたらあかんって」
「あ!!!おったで!!」
瑠美が腕を引っ張るから私も背伸びして、中を覗く。
「うわ!目合った!!」
瑠美を残して猛ダッシュで逃げようとしたら・・・・・・
「萌美!黒岩が呼んでるっぽいで」
瑠美にかばんを掴まれた。
「うそや。瑠美に乗せられてるわ、私」
「ちゃうって。ほんまに。ほら!!こっち来たで」
瑠美の言う通り、グレーのセーターに黒いパンツ姿の黒岩が、かっこよく歩いてきた。
ガラガラ
「おい!小阪。今日の放課後会議あるから、昼休みに時間取れるか?」
今日の黒岩もめちゃかっこいい。
「昼休みは・・・・・・遊びたいし・・・・・・」
と、言ってる私の前に出て、瑠美が言う。
「大丈夫です!!萌美のこと、昼休み貸し出ししまーす!!」
また余計なことを・・・・・・
でもありがたい。
「ほんまにええんか?じゃあ、職員室でいい?昨日のノート持っておいで」
「はい」
持っておいで・・・・・・
なーんか、その言い方が優しくて、彼氏みたいな・・・・・・
期待なんかしてないけど、黒岩と付き合えたら・・・・・・って想像してしまうのは仕方がない。
付き合ったら・・・・・・
優しいんやろうなぁ。