センセイのチカラ―受験生応援小説―
「ノート、見せてみ」
私が胸に抱えてたノートを見て、黒岩は手を出した。
「夜中までちゃんと勉強したで。この問題も完璧や」
自信満々にノートを手渡す。
ふと、昨日のこと思い出す。
あーーー
ケンカしたんや。
帰るの嫌やな。
「放課後、今日も残りたかったな。親とケンカしたから帰りたくない」
ボソっとつぶやいてみる。
もちろん、黒岩に心配してほしいからなんやけど。
「なんで、ケンカしたん?」
ほら。
黒岩は、こうしてちゃんと私の気持ちを拾ってくれるんよな。
グレーのセーター、腕まくりして、椅子をクルっと回して私を正面から見る。
「話してみー」
声は、大好きな優しい声で。