センセイのチカラ―受験生応援小説―
私は、プリンよりもお母さんが好きや。
プリンに伸ばした手を引っ込めて・・・・・・
お母さんの胸に飛び込んだ。
「おかあさぁん・・・・・・ごめんなさい」
「萌ちゃん・・・・・・」
「いつもお弁当ありがとう・・・・・・」
「そんなんええねん」
お母さんの目も潤んでた。
それから、温かい紅茶とプリンで仲直り。
「萌ちゃん、おこりんぼうなんやから」
「だって、ミカン食べたかっただけやのに、お父さんあんなん言うんやもん」
「そやな。勉強勉強ってうるさく言われたら、いやになるわな」
「せやで。お母さんにまで言われたから・・・・・・めっちゃ悲しかったんやから」
こんな風に本音で話すのは久しぶりやった。
受験が始まってから、こうした時間もなくなってた。
「たまにはお母さんとこんな風に話したり、お菓子食べたりしたい」
キョトンとしたお母さん。
「もしかして、萌ちゃん寂しかったん?まだまだ萌ちゃんも子供やな~」
「うるさい!!!!」
照れくさいけど、ほんまにそうやねん。
中学3年の私は、大人ぶっててもまだ子供で、時々お母さんの胸に甘えたくなる。
大好きなお母さんの手で、頭なでてほしいって思うこともあるねん。
「おいで」
プリンを食べ終えた私は、赤ちゃんみたいにお母さんに抱きしめられた。
ホッとした。
「ほな、今から勉強頑張るんやで?」
「は~い!!」
黒岩のおかげ。
黒岩に今すぐ報告したかった。
仲直りしたでって。
仲直りどころか、めちゃ仲良しに戻れた。
大好きなお母さんのこと、また大好きって思えるようになった。