センセイのチカラ―受験生応援小説―
恋と勉強
真冬やのに、めちゃめちゃいい天気の朝やった。
昨日の夜、お父さんとも仲直りした。
ちゃんと頑張るから、信じて見守ってほしいって伝えた。
「行ってきまぁす」
「行ってらっしゃい。黒岩先生によろしく」
昨日、黒岩に言われたことをお母さんに話した。
お母さんは、そんなええ先生がおるんやなって感心してた。
小走りに瑠美の家に向かう。
「どないしたん?機嫌ええやん」
「仲直りできてん。いろいろごめんやで」
瑠美は安心した顔をして、私に肩をぶつけた。
「良かったな!!」
「そんでな、黒岩にめっちゃ嬉しいこと言われてん。うちら3年が卒業するのが寂しいんやって!!」
「マジで?クールに見えるのに、黒岩って熱いな。萌美と離れるのが寂しいんちゃう?」
友達はたいがい、片思いの相手が自分のことを想ってくれてるかのように励ましてくれる。
それが嘘やとわかってても嬉しくなる。
「なんでよっ!!そんなわけないやん」
「だって、黒岩と萌美ってめちゃ仲ええやん。友達みたいに話してるし」
うん。
でも、黒岩は“先生”で・・・・・・
手の届かへん人なんよ。