センセイのチカラ―受験生応援小説―
伝えたい
私と黒岩の放課後課外授業も、1週間を過ぎた頃。
私の英語の小テストは、今までの倍の点数になった。
授業中も真面目になって、家でも英語中心に勉強した。
多分、相当伸びたと思う。
英語だけ・・・・・・
「過去問、持ってきたから。ちょっと難しいけど今日はこれやるで」
放課後の教室はすぐに暗くなる。
電気をつけると、妙にドキドキする。
蛍光灯の下で見る黒岩は、いつもと違う感じがした。
「それにしても、やる気になれば伸びるもんやな。もっと早くやる気になってくれたらなぁ」
「先生がもっと早く私に声かけてくれたら良かったんやん」
「俺のせいか?まー、確かに前々からお前のやる気のなさに気付いてたからな」
私が好きになった日から少し経って、黒岩の髪も伸びた。
「何?」
見つめすぎた・・・・・・
「何もないわ!!はよ、問題貸して!!」
照れ隠しに、かわいくない態度を取ってしまう。
このまま、卒業しちゃうんやな・・・・・・
せっかく英語好きになったのに。
せっかく黒岩と仲良くなれたのに。
あと少しで卒業しちゃうんや・・・・・・
英語の問題を見つめながら、黒岩の気配を感じてた。
教室をうろうろ歩く黒岩。
先生、ほんまに好きです。
どうしたらええ?
こんなに好きになってしまったのに、お別れなんていやや。