センセイのチカラ―受験生応援小説―
もう真っ暗や。
窓の外を見つめながら、黒岩が口を開く。
「その問題終わったら答えるわ」
それから10分くらい、黒岩は教室をうろうろして
私は問題を解いた。
「できた」
「よし」
黒岩が答え合わせをしてくれて、間違ったところを細かく説明してくれる。
申し訳ないけど、今だけはその内容が頭に入ってこーへん。
切ない。
苦しい。
こんなにも好きになって、私はどうなってしまうんやろう。
「で・・・・・・さっきの質問の答えやけど、俺だって人間なんやからそんな経験だってあるよ」
意外・・・・・・
てか、ちゃんと答えてくれたのも意外。
あほかーって流されてもおかしくないのに。
「失恋したこともあるし、好きやけど別れたこともあるし、自分から告白したこともある。俺の初恋も、お前くらいの年やったな。お前も、好きなヤツができたんか?」
私の好きな表情。
優しくて、あったかくて、包んでくれるような顔。
声も好き。
私の前の席に座る黒岩。
近くてドキドキする。