センセイのチカラ―受験生応援小説―
納得いかへん表情のまま、黒岩は席についた。
ぶつぶつ言いながら、ノートに英語の問題を書く。
「忘れてって言うけどなぁ・・・・・・気になるやろうが」
スラスラと英語の問題を書く黒岩の手元と顔を交互に見る。
あと少しやな。
この素敵な時間も。
受験が終わって、卒業しちゃったら・・・・・・
さよならなんや。
黒岩。
短い短い恋やった。
3年間も一緒におったのに、気付いたのが終わりの終わりで。
でも、気付けて良かった。
好きにならんかったら、こんなに頑張られへんかった。
好きにならんかったら、黒岩の優しさを感じることができひんかった。
好きにならんかったら・・・・・・
こんな胸の痛みを知らんままやった。
「おい。どないした?ごめん。俺がしつこく聞いたからか?」
「え?」
私の目は、涙でいっぱいやった。
この楽しい時間があと少しで終わるって思うと・・・・・・
悲しくて寂しくて。
でも、黒岩にめちゃめちゃ感謝の気持ちもあって。
「なんでもない!!ごめん。先生のせいちゃうで」
「大丈夫か?受験近づいて、やっぱりストレスたまってんのか?辛かったら無理すんな。俺に話せよ」
優しすぎる。
また泣ける。
好きやで。
黒岩。
ほんまに大好きやで。