センセイのチカラ―受験生応援小説―
「ありがとう。先生・・・・・・」
制服の上に着た黒いセーターの袖で涙をぬぐう。
「お前はいつも元気やから、なかなか周りからわからんけど、無理してんのちゃうか?この補習もキツかったらやめてもええし」
「嫌や!!」
ぬぐった涙がまた溢れて・・・・・・
黒岩は、びっくりした顔で私の顔を見て、気まずそうにノートに視線を移す。
「補習終わるのが寂しいねん。こうやって先生と話したり勉強したりするのもあと少しやん」
自分がこんなにコントロールできひんなんんて初めてや。
止めようと思っても、この口は止まらへん。
「そ、そうか?それは・・・・・・ありがとう」
完全に黒岩も焦ってる。
どないしようって顔してる。
「先生がおらんかったら、受験嫌やって思ったままやったし、親とも仲直りできんかったし、英語だって頑張ろうと思わんかった。全部・・・・・・先生のおかげやねん」
「お・・・・・・おう。そうか・・・・・・」