センセイのチカラ―受験生応援小説―
もう言っていい?
好きやねんって・・・・・・
黒岩は困るかな。
どう思うかな。
「なぁ、先生・・・・・・」
ボールペンを止めた黒岩。
目が合う。
「ちょっと・・・・・・俺、今日用事あったんやわ。ごめん!!」
突然立ち上がった黒岩は、私のボールペンを持ったまま、教室から出て行った。
黒岩・・・・・・
逃げたぁ!!!!
絶対、用事なんかないんや。
告白されるって予感がしたから、逃げたんや。
「黒岩ぁ・・・・・・」
ひとりぼっちの教室でため息をつく。
黒岩が作ってくれた問題を解きながら、自分の言動を反省した。
自分で自分がコントロールできひんかった。
目の前にいる大好きな人に、この気持ちを伝えたいと思ってしまった。
大勢の中のひとりじゃなく、私のことをちゃんと見て欲しいって・・・・・・
そんなぜいたくなことを願ってしまった。