センセイのチカラ―受験生応援小説―
「黒岩せんせーー!!呼んでるのに逃げないでくださいよ」
急いで靴をはきかえようとしてる黒岩の背後から瑠美が言う。
「お、おう。おはよう」
瑠美の顔だけ見た黒岩は、そっけなく挨拶だけして、職員室の方向へ早歩きで向かう。
「ちょっとぉ~!先生、質問あるのに」
強気の瑠美は、黒岩の腕を掴んだ。
がっくりと肩を落とした黒岩がゆっくりと振り向く。
「英語の質問か?」
全然私の方を見ない。
「はい、そうですよ。他に何があるんですかぁ~」
完全に黒岩をからかってる瑠美。
「じゃあ、職員室で質問受け付けます」
授業中みたいに敬語になった黒岩。
「じゃ~、また後で先生のところ行きますね~」
瑠美はそう言って、黒岩の腕を離した。