センセイのチカラ―受験生応援小説―
昼休みも、黒岩は職員室におらんかった。
普通に話したい。
“おー小阪!”っていつもみたいに声かけて欲しい。
「あんなとこにおるで」
廊下の窓から瑠美が黒岩を発見した。
体育館に向かう細道の脇にあるベンチ。
「パン食べてる」
私は、パンをほおばる黒岩を見つめながら、ちょっと泣きそうになった。
「どうせまた逃げるって」
「でも、放課後はまた会えるやん」
「もしかしたら、今日も断られるかも」
「それはないやろ。今日の放課後の約束しにいこ」
もうすぐ卒業って時期に、学校がこんなに好きになった。
黒岩のいる学校。
瑠美と過ごす学校。
ほんまに好きやな、ここが。