センセイのチカラ―受験生応援小説―
逃げられへんように、そ~っと近付く。
パンを食べ終えた黒岩が、ベンチに置いてる缶コーヒーを手に取る。
「うわ!!」
私と瑠美に気付いた黒岩は、本気でびっくりした顔・・・・・・
そんなに驚かんでもええやん。
オバケちゃうねんから。
「質問か?」
「もう質問なくなってん」
「そうか」
瑠美と黒岩の会話を聞きつつ、ちょっと視線を外す。
だって、目・・・・・・見てくれへんもん。
「あ、小阪・・・・・・今日の補習、なしでええか?」
やっぱり。
また、目を合わせずに。
そんなん嫌や。
あと少ししかない補習やのに、なんで?
もう言わへんから。
許して・・・・・・黒岩。
「萌美のこと見捨てるん?萌美が高校落ちたら、黒岩先生の責任やで」
また黒岩の腕を掴んで、瑠美が怒った口調でそう言うと・・・・・・
「う~ん・・・・・・そうか。じゃあ、どうしようかな。う~ん」