センセイのチカラ―受験生応援小説―
校庭から部活の掛け声が聞こえる。
懐かしいなぁ。
「戻りたいな。2年に」
自然に口から出てしまった独り言。
わざわざ聞き返す黒岩。
「なんでや?お前、卒業いやなんか?」
「ようわからんけど、受験受験ってみんなうるさいし、学校好きやったけど今は疲れる」
どーせ、口うるさい説教が始まるんやろう、と黒岩をにらんでみる。
ん?
何、その顔。
見たことないような穏やかな表情で。
優しい声でこう言った。
「ごめんな。俺らのせいやな。追い詰めてしまってるんやな」
一瞬、涙出そうになった。
先生がそんなこと言うなんて。
うちらの苦しみ、わかってくれたんやって思った。
胸が熱くなった。
黒岩ごときに。
感動してしまった。