センセイのチカラ―受験生応援小説―
体育館裏にしゃがみ込んだ。
近く感じてた黒岩が遠くに行った気がして、どうしようもなく寂しかった。
何が悲しいんか、よくわからんけど涙が出た。
避けられてることが悲しいのか、もうすぐお別れなのが寂しいのか・・・・・・
「おい!!逃げるなよ」
頭上から聞こえた声は、間違いなく大好きな黒岩の声やった。
なんで追いかけてくれるん?
やっぱり、優しいんやな・・・・・・
そんなんやから、どんどん好きになってまうねん。
「先生が先に逃げたんやん・・・・・・」
「あ、そうか。ごめん」
「先生、迷惑やったらもう補習もせんでいいから」
涙が溢れる。
迷惑やなんて、黒岩が思ってるはずないのに。
「何言うてんねん。迷惑なわけないやろが」
「だって・・・・・・」
まだしゃがんだままの私。
じゃりの音がする。
黒岩が近付いた気がして、目を開けてみる。
「ごめん。俺が悪かった」
チラっと声の方に顔を向けると、隣に黒岩がしゃがんでた。