センセイのチカラ―受験生応援小説―
「お、おう。そうか。でも、それだけで、好きになる?」
しゃがんだ黒岩が、立ち上がった。
私は黒岩を見上げながら、自分自身に問いかける。
確かに・・・・・・
同じセリフを、違う先生が言ってくれたとしたら?
私はその先生を好きになったん?
「わからへん」
「何やねん。そんなあいまいな気持ちなん?」
「違う!!ほんまに好きやもん。めっちゃ好きやもん」
すごいこと言ってない?私・・・・・・
体育館から、女子の笑い声や、ボールの音が聞こえる。
この体育館裏は、隠れた告白のスポットやって聞いたことがある。
「お前にどう返事しようかって考えて、ずっと悩んで・・・・・・」
意外。
ほんまに意外。
“教師なんか好きになるなよ”って笑われる覚悟やったのに。
そんなに真剣に悩んでくれたなんて。
「先生、告白とか慣れてるんちゃうん?」
黒岩は、人気あるって・・・・・・
瑠美も言ってたし。
実際、入学当時、結構キャーキャー言われてた。
「慣れてるわけないやろ。しかも、お前みたいに仲良い子から告白とは初めてやねん。今までは、俺の顔だけ好きになった子とかが多かった。だけど、お前は違うやろ・・・・・・だから、ちゃんと向き合おうと思った」
俺の顔だけって。
結構、自信あるんやん。
かっこええけどさ。
今やから言える。
今までは見てなかった。
黒岩のかっこいい横顔も、優しい笑顔も、抜群のスタイルも・・・・・・