センセイのチカラ―受験生応援小説―
「つい最近好きになったってことは、俺のサッカー姿見てないってのも、ほんまやったんか?」
黒岩、何気に・・・・・・
私の手を引っ張った。
手と手が・・・・・・
一瞬つながった。
「うん。ぶっちゃけ、サッカー部の顧問ってのも、ほんまに知らんかったから」
「なんかわからんけど、ショックやな」
先生を好きになるって、イケナイことやと思ってた。
よく言う“禁断”みたいな。
でも、今めちゃめちゃ自然に話してる。
普通に、黒岩と“男と女”の会話してる気がする。
「今日、宿題しながら俺のサッカーしてるとこ、見たら?」
えええーーーー、何それ。
もっと惚れろって意味?
「なんで?」
「俺のこと、まだ知らんやん。サッカーしてる俺も見たことないのに、好きとか言うな」
ちょっと前を歩いてた黒岩が、振り返って・・・・・・
私の頭の上に手を乗せる。
「受験生やからって、人を好きになったらあかんってわけじゃない。その気持ちを、どういい方向に持っていくかが大事。だから、俺のこと好きでええから、その分勉強頑張ればいい」