センセイのチカラ―受験生応援小説―
そんなやり取りを何度か繰り返した後、ノートに問題を書き始めた。
「これは、家でやってくるように!!」
何回見ても、黒岩のスラスラ書く英語はかっこいい。
「はい」
「じゃあ、また明日の放課後な」
パタンとノートをとじて、私の頭の上に乗せる。
帰り支度を始めた私。
まだ教室から出ていかへん黒岩。
「暗いから、気ぃつけて帰れよ」
「うん。襲われへんように帰るわ」
「心配さすこと言うな!!」
心配?
そっか、生徒やもんな。
変な期待してまうやん。
鞄に荷物を詰めて、教室を出る。
一緒に教室を出た黒岩は、反対方向の職員室へと向かう。
「んじゃな」
「うん。ばいばい、先生」
「おう」
振り向きたいなぁ。
でも・・・・・・我慢我慢。
「おい!!」
お!!
声かけてくれた!
「何?」
「お前、俺に言うことないんか?」
「言うことって何?」
「俺のサッカーしてるとこ見たんやろ?惚れ直した?」
またそんなこと言うし!!!!
まじで、黒岩ってイメージと全然ちゃうやん。
でも、そんな黒岩がますます好きになってしまってる。
「うん。めちゃめちゃかっこよかったよ・・・・・・」
私は、私らしくないかわいい返事をして、その場から走って逃げた。
あーーーーー、顔から火が出そうってこういうことやな。
まじで、熱い。
寒い寒い帰り道、一人赤い顔して歩いてた。