センセイのチカラ―受験生応援小説―
放課後の補習は、黒岩遅刻。
というのも、この時期になると、質問に来る生徒が多くて大変みたい。
それやのに、私に時間作ってくれる黒岩は、ええ先生やと思う。
「遅くなったな。ごめんごめん」
グレーのジャージ姿の黒岩が教室に入ってきた。
「なんでジャージ?」
「あー、後でまた部活顔出すから」
「ふーん」
「何、それ?スネてんの?」
だからぁ、その彼氏っぽいしゃべり方、反則やってば。
「なぁ、先生。先生がそんな態度やったら、私あきらめられへんで。それでもええん?」
「あきらめたいん?俺のこと考えて、勉強も手につかんか?」
私の前の席に座る黒岩。
髪の毛かきあげたら、いい匂いがした。
「勉強は・・・・・・やる気満々やけど」
「じゃあ、いいやん。俺のこと好きになって、英語の成績上がって、高校合格して、何があかんねん」
こんなこと言ってくれる先生っておるかな?
普通、あかんよな??
黒岩って、変わってる。
「いいならいいけど。先生困るやろ?」
困らへんって答えを期待してる自分がおる。
だからこんな質問してしまった。
「俺は嬉しいけどな。あきらめるのはまだ早いんちゃう?」
無責任なヤツ!
合格してからあきらめろってこと??