センセイのチカラ―受験生応援小説―



「私、合格できると思う?」



「お前はどう思う?100%の力を出したとして、合格できると思う?」



私の100%って、どれくらいなんやろう。


よくわからん。




「わからん。無理なんかも」



「そう思ってるなら無理や。高校に合格したいって思うだけじゃなく、試験で100%の力を出し切るってことが大事。いくら合格間違いナシの子でも、当日体調悪かったりして力が発揮できんかったら不合格になる」




こういう真面目な話してる黒岩も、結構好きなんよな。


たまに視線外して、窓の外見るのは、黒岩の癖みたい。


最近知った。



「お前の100%の力で合格できる自信ないなら、合格できひん。できたとしてもそれはただのまぐれや。そんなんで合格して嬉しい?適当に書いた答えが合ってても嬉しくないやろ?しっかり勉強して、自信持って試験受けて、力を出し切ることが大事」



「うん」



「合格したいって願うのも当然やけど、自分の今までの努力したものを出し切ることが一番大事なんちゃうかな。そこには、自分の力だけじゃなく、家族の協力とか先生の応援とかいろいろあるやろ。受験はひとりでするもんじゃないって俺は思ってるから」





熱い。


黒岩、熱い。



素敵すぎる。




「授業でそういう話、してや。みんな感動すると思うで」



黒岩は照れくさそうにはにかんで、窓の外を見た。




「ありがとう。ますますやる気出た。先生ってフザけてると思ったら真面目になったり、おもろいな」



「俺はいつも真面目です」




「どこがよ!こんな問題作ってさー」



私は昨日の英語の問題の最後のページを、黒岩の顔の前に開いた。



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