センセイのチカラ―受験生応援小説―
ラストスパート
それから、受験へのラストスパートが始まった。
学校の中の雰囲気も、今まで以上に緊迫感あって、授業中も寝たりしゃべったりできる感じじゃない。
上の方の高校狙ってるクラスの子なんかは、休み時間も勉強してる。
専願の子もおるし、授業中の自習の時間も増えた。
「もうすぐ卒業やな」
授業の半分を質問タイムにした黒岩が、口を開く。
勉強に集中していた生徒も、顔を上げて黒岩を見た。
みんな忘れてる。
受験受験って大忙しで・・・・・・
この中学校で過ごせる時間があと少しってこと。
この仲間と過ごせるのもあと少しってこと・・・・・・忘れてる。
「みんなが笑って卒業できるようにな」
ひとりごとみたいな黒岩の声は、みんなの心にスーッと届く。
目が合う。
あれ以来、話してない。
“好きになるかもしれへん”って言ってくれたあの放課後から・・・・・・