センセイのチカラ―受験生応援小説―
「写真撮りに行こうや」
休み時間に、瑠美が私の手を引っ張った。
「誰と?」
「誰って、萌美の未来の彼氏と~」
「あほーーー!!」
廊下を走る。
こうして、この場所で笑えるのもあと少し。
黒岩と廊下ですれ違ったり、黒岩の後ろ姿見て喜んだり、そんな日々も終わる。
「黒岩せ~んせっ!!写真撮ってくださーい」
瑠美の元気な声に、振り向いた黒岩。
生徒のノートをチェックしながら、難しい顔をしてた。
「お前ら、この時期に余裕の行動やな」
そう言いながらも、乱れた前髪を整えて、写真用の顔を作る。
「俺とふたり?」
右側に立った黒岩が、ちょっとニヤつく。
「記念に・・・・・・いい?」
「ええけど、ちゃんと俺にもちょうだいな」
「え?」
「ふふふ」
受験勉強に追われる毎日の中で、こうした黒岩との時間が私を癒してくれるねん。
「合格したいなぁ」
ポツリとつぶやく私に、黒岩が言う。
「できるって。お前が頑張ってるの俺知ってるし」
また生徒のノートを開いて、真面目な顔に戻る。
職員室から出た私と瑠美は、元気いっぱい走って教室へ。
「絶対合格するぞ~」
「瑠美と同じ高校行くぞ~」