風になれ
残っていたコーンをぱくっと
一口で平らげて
私はずかずかとその場を
去った。
去ろうとした。

過去形になったのは
大地くんにぎゅっとされたから。

「ごめんって」

大地くんの息が
耳元にかかってこそばゆい。
1年以上つきあってきて
こんなことをされたのは
初めてで顔が熱くなる。

「…放して」
「いやだ」

照れ隠しに言った言葉も
即拒否された。

これじゃあ形勢逆転じゃん!

「話があるんだけど
 恥ずかしいから、
 このまま聞いて」

むしろ
このシチュエーションの方が
とっても恥ずかしい!

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