風になれ
でも放してくれる気は
無いようなので
仕方なくそのまま聞く。

「俺、彼女とかできたの
 野風が初めてだから
 どうすればいいのか
 全然わからなくて、
 話したり一緒に帰ったり
 テニスしたり
 それだけで幸せだった」
「うん」

でも、と大地くんは続ける。

「さっきあのふたり見て
 俺らのしてることって
 直たちと変わんねーじゃんって
 思ってつきあう意味を
 考え出したら
 そっちに集中しすぎて
 野風怒らせちゃった。
 一瞬、離れたほうが
 いいのかとか考えたけど
 今こうして野風に触れたら
 やっぱすげーすきだって
 確信した」
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