風になれ
もう、頷くことしか出来なかった。

笑われるかもしれないけど
私たちはずっと
友達の延長みたいな
カップルだった。
だからこういうことを
言われるのは初めてで
ドキドキ、胸の音が止まらない。

「野風は?」

ふっと私を向き合わせて
真っ直ぐな目で
大地くんは私を見つめた。
私は…

「私も、だいすき」

恥ずかしさで真っ赤な私に
彼は綺麗な顔で微笑んで
もう一度ぎゅっと
私を抱きしめた。

「まずは来週の地区予選
 勝って一緒に県大会へ行こう。
 約束な」

そう言った大地くんの顔が
少しずつ近づいてきて
私は目を閉じた。
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