風になれ
「セブンゲームマッチ、プレイボール」

主審の声でゲームが始まる。

「入るよー!」

優子のサーブで始まった。
私と優子のペアは基本的に
私が前衛で優子が後衛だ。
たまに交代もするけどね。
いつもどおり、優子の綺麗なサーブが
私の横をすり抜けていく。

「ナイッサー!」

よし、と思ったその瞬間。

ヒュンッ

「…え?」

思わず声が出た。
後ろを振り返ると優子も
何がなんだかわかってないらしい。
今…
信じられない早さのボールが
私の位置からは届かない、
かつ優子が取れない場所に打ち込まれた
…としか思えない。

「まだサーブレシーブなのに…」
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