風になれ
そのとたん、ふっと軽くくちびるに
大地くんのくちびるが触れた。

「…っばか、ひと!!」
「ほら、泣きやんだ」

大地くんが私を見てにひひと笑う。
確かに私はびっくりして涙が止まった。
〜だけどね!
人前は恥ずかしすぎる!!

「大丈夫だ、野風」

今度は至って真面目なトーンで
大地くんは頷いた。

「びびったって、震えたって、いい。
 自分より強い相手なんだから当然だよ。
 自分の弱さを知ってひとは強くなる。
 まだ明日もあるし
 何より心強いペアがいるだろ?
 明日リベンジすればいい。
 頑張れ、野風」
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