風になれ
また溢れそうになる涙を堪えて
私も力強く頷いた。

「ありがとう、ごめんね。
 大地くん県大会頑張ってね」
「ばーか、明日野風も行くんだよ」

大地くんに言われると
なんだか簡単に
行けそうな気がしちゃうから困る。

「野風!」

突然伊久ちゃんから呼ばれて
大地くんから離れた。

思えば私、ずっと抱きついていたのね。
恥ずかしい!!

「えっと、邪魔してごめんね?
 広内先生が、対戦相手決まったって」
「え、ほんとに!?
 今行く!!」

大地くんを見ると満面の笑顔だった。
いってこい、と小声。

うん、いってきます!
< 119 / 168 >

この作品をシェア

pagetop