風になれ
「いつもあんなことされてんの?」

いつのまにか大地くんが屈んでいて
大きな丸い目が私の目の前にあった。
顔の近さにどきっとする。

「うーん?
 …呼び出しは初めてかなぁ。
 大会近いからピリピリしてるんだよ」

その言葉に大地くんは不服そうにした。

「テニス関係ねーじゃん、こんなの。
 え、誰も助けないわけ?」

その言葉は尤もだ。
けど…

…助けてくれないよ。
だってみんな、自分が可愛いんだから。

別に悪いことじゃないけど
やっぱりちょっと悲しいよね。
友達ってなんだろうって感じちゃう。

でも

「助けてくれるよ、大丈夫」

私は笑って大地くんにそう言った。
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